「金がないので、私は『自分らしい』生き方を始めることができません」というこのロジックにうっかり頷いてしまったら、彼の前にはもう二つの選択肢しか残されていない。
ひとつは「自分らしさ」の実現そのものを諦めること。
ひとつは、「自分らしく」生きるプロセスを開始するために必要な「金」を手にまず入れること。
いずれにせよ、「金がない私」は家でごろ寝していようと、金を作るために外で働いていようと「私」ではない。
私たちがファストフードやコンビニでときどき見かける、機械的にマニュアル通りの言葉を発し続け、けっして客と目を合わせない従業員たちは「あなたの前にいる人間、これは『私』ではありませんよ」ということを必死になってアピールしているのである。